[月刊『寺門興隆』 2009年7月号より転載]

神と仏の倫理思想 吉村均著 北樹出版 2520円
「日本仏教を読み直す」が副題。日本人の倫理観の形成に神道と仏教はいかに影響を与えたのか。中世から近代までの歴史を振り返り、その関係性を明らかにする。「和辻哲郎と仏教」他。



龍樹と、語れ! 石飛道子著 大法輪閣 2415円
副題は「『方便心論』の言語戦略」。仏教最古の論理学書『方便心論』は龍樹が、医師チャラカに対して言い争うことなく仏法を説いた論法が著されている。その論理の組み立てに迫った書。



座標軸としての仏教学 勝本華蓮著 佼成出版社 1680円
副題は「パーリ学僧と探す『わたしの仏教』」。死ぬ心構えとして仏教を知っておくのは悪くない。だが、自分の信じる「仏教」とは何か。インド仏教学研究者による仏教史読み解きガイド。



権力と仏教の中世史 上横手雅敬著 法藏館 9975円
 日本仏教の母胎ともなった中世・鎌倉時代。東大寺復興、鎌倉大仏建立などの仏教事業は時の政権とどのように関わっていたのか。政治史研究者が、中世日本仏教を新たな視点で読み解く。



瑩山思想の本質 瑩山禅師の垂語参究 五十嵐卓三著 国書刊行会 3990円
道元と並び、曹洞宗教団の両祖として崇敬される瑩山だが、その姿は未だ不明な点が多い。当時の時代背景を視座に入れ、著書『傳光録』を中心に見直される。「信仰共同体の確立」他。



続 道元禅の近代化過程 山内舜雄著 慶友社 9450円
行学一如・信誠敬愛の体現を図った曹洞宗の駒澤大学初代学長・忽滑谷快天師。妻帯観や、独自の宗門観など激動の時代に生きたその生涯と思想を検証することで建学の精神が浮き彫りに。



禅と日本野球 川上哲治著 サンガ 1890円
「チームワーク、指導力、育てる力日本野球の礎を築いた『禅』の哲学」が副題。岐阜県の臨済宗妙心寺派正眼寺で参禅した日本を代表する元野球選手が、禅から学んだことを振り返る。



今日の宗教の諸相 C・テイラー著 岩波書店 1995円
地球規模で国家をはじめとする共同体の枠組みが変貌する中、人は宗教に何を求めているか。西田幾多郎にも影響を与えた米国の哲学者ウィリアム・ジェイムズの思想を中心に考察される。



冥途の旅はなぜ四十九日なのか 柳谷晃著 青春出版社 819円
「数学者が読み解く仏教世界」がサブタイトル。極楽浄土までの距離、五重塔や仏像の構造、除夜の鐘の意味など、仏教用語や思想、仏教文化を数学的見地から分析したユニークな新書判。



九相図資料集成 山本聡美・西山美香編 岩田書院 9345円
 死体の腐乱過程を絵で展開し、生死を強烈に伝える。仏教思想の象徴でもある『九相図』資料を集成した前例のない書。



日々是修行 佐々木閑著 筑摩書房 756円
「現代人のための仏教100話」が副題。朝日新聞の連載をまとめたもの。自己を見つめる修行のあり方を原始仏教を通じて、易しく説く。新書判。



がばいばあちゃん お寺へ行こう 島田洋七著 本願寺出版社 735円
「お寺は子供の頃、最高の遊び場だった」と著者は振り返る。がばいばあちゃんこと、祖母との二人暮らしを回想しつつ子供向けにお寺参りを説く本。



日蓮 日本人のこころの言葉 中尾堯著 創元社 1260円
乱世の時代、幾度も法難に遭いながらも浄土を現世に顕現させようと苦闘した日蓮。民衆の心に響いた言葉を、現代に通じる思想として読み直す。



恋愛と結婚の呪縛をとくお稽古帖 主婦と生活社 1260円
著者はウェブライターでもある浄土真宗本願寺派僧侶、小池龍之介。恋愛をテーマに、執着からの解放を説く。「恋路の邪魔者 三種の呪縛」など。



生きる勇気、死ぬ元気 五木寛之・帯津良一著 平凡社 1470円
死は人生の終着点なのか。作家とホリスティック医学を提唱する医師が、より良き死を迎える姿勢を語り合う。「型破り、死の儀式のヒント」など。



彼岸の時間 〝意識〟の人類学 蛭川立著 春秋社 2625円
仏教をはじめ、世界各地の宗教では「彼岸」という時間と空間はどのように捉えられ、表現されているのか。アジアを中心に、葬送や瞑想、憑霊などの儀礼をフィールドワークした研究書。



心霊写真 メディアとスピリチュアル J・ハーヴェイ著 青土社 2520円
夏になるとテレビに必ず登場する心霊写真だが、いつからこんな文化が現れたのか。宗教の視覚文化を専攻するイギリスの研究者が、心霊写真の社会的・文化的背景を考察。松田和也訳。





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