[月刊『寺門興隆』 2009年5月号より転載]

中世地域社会と仏教文化 祢津宗伸著 法藏館 8925円
唐物や渡来僧が珍重された中世において日本列島では東アジアの仏教文化はいかに受容されたのか。信濃地方を中心に喫茶文化の普及、三国史観など知られざる仏教史が浮き彫りにされる。



元三大師御籤本の研究 大野出著 思文閣出版 3570円
本書はおみくじに関する初めての本格的な研究書。そのルーツや受容過程、武家社会との関係、おみくじに込められた倫理的処世訓などを定本とされる元三大師御籤本を中心に解明している。



アジャンター壁画の研究 定金計次著 中央公論美術出版 計68250円
仏教美術の宝庫とされるインド・アジャンター石窟寺院はインド美術史上、いかに位置づけられるのか。豊富な文献と未公開を含む壁画九百点と共にその内容と主題との関係を解明。全二巻。



本門佛立講と創価学会の社会学的研究 大西克明著 論創社 3150円
副題は「宗教的排他性と現世主義」。他宗教の教えを問題化し、自らの教団の正当性を主張する宗教的排他性という枠組みを通じて、本門佛立宗と創価学会の構造を明らかにする研究論考。



〈境域〉の実践宗教 林行夫編著 京都大学学術出版会 6720円
副題は「大陸部東南アジア地域と宗教のトポロジー」。経済・文化のグローバル化が急激に進む中でアジアの僧侶たちは民衆に何を行っているのか。フィールドワークを通じた研究調査集。



日本仏教名言集 石上善應編 天来書院 2625円
人生の節目となる冠婚葬祭や年中行事にちなんだ伝統仏教の宗祖・名僧の名言を原文・書き下し文・現代語訳を併記して編纂。執筆者は四人(柴田泰山・下室覚道・張堂興昭・廣澤隆之)。



密教が教えるスピリチュアルケアのこころ 同文舘出版 2730円
著者は百万枚護摩行を成満した鹿児島県高野山真言宗最福寺の池口惠觀住職。目下ターミナルケアの現場で実践されているスピリチュアルケアを日本的な実践として、密教の視点から説く。



知識ゼロからの親鸞入門 本多弘之監修 幻冬舎 1260円
真宗大谷派の教学機関.親鸞仏教センター所長が監修する現代人向けの親鸞入門書。その生涯から言葉、教義、思想の系譜が端的にまとめられている。



人は死ぬから生きられる 南直哉・茂木健一郎著 新潮社 714円
私とは何か? この難問への答えを大本山永平寺で約二十年の修行を経て恐山院代をつとめる曹洞宗僧侶と、脳と心の関係を新たなキーワードで読み解く脳科学者が、問答で迫る。新書判。



お寺の奥さんがつくるおかず 松原真紗子著 大和書房 1260円
鎌倉の禅宗寺院に生まれ。東京の臨済宗妙心寺派龍源寺に嫁いだ寺庭婦人による、禅の旬菜レシピ集。美しいカラー写真付き。



一からはじめる禅 安永祖堂監修・星野和子著 ダイヤモンド社 1680円
禅の教えを一から知りたい人に向けて編纂された禅ガイドブック。歴史から禅語、公案に込められた禅の知恵が日本と中国の事例と共に紹介される。



日本人にとって「宗教」って何だろう 武光誠著 河出書房新社 756円
「私は無宗教」と答える日本人は多いが、お盆やクリスマスは欠かさず行う。そんな独自の宗教観を古代から近代に至る宗教史に見出す。新書判。



けちのすすめ ひろさちや著 朝日新聞出版 1260円
百年に一度の大不況を乗り越える心の持ちようを、宗教評論家が「少欲知足」の教えを通じて分かりやすく説く。「人生の危機と生活の危機は違う」他。



宗教と現代がわかる本 2009 渡邉直樹編 平凡社 1680円
特集「天皇と宮中祭祀」(対談者は島薗進・原武史)の他、中国やブラジル、アラブにおける宗教問題、釜个崎の宗教団体の活動実態などが報告される。



「仏像」の世界 村越英裕著 インデックスコミュニケーションズ 1470円
著者は本誌別冊連載の臨済宗妙心寺派龍雲寺住職。何十種類もある仏像も、三つのポイントさえつかんで拝観すれば身近に感じると説くガイド本。「超エリート集団『如来グループ』」など。



日本庭園 空間の美の歴史 小野健吉著 岩波書店 861円
龍安寺の石庭に始まり、近代ホテルの庭園まで日本庭園は時代と共にその姿と美の基準を変えてきた。祭祀や儀式の場、社交の舞台として洗練されてきた歴史がひもとかれる。新書判。



空海 塔のコスモロジー 武澤秀一著 春秋社 2310円
納骨堂の設計を機にインド行脚を始めた建築家が、標高1000mの高野山に広がる密教宇宙の世界を伽藍から読み解く。「塔、その豊饒のかたち」他。





Copyright (C) 2006-2010 kohzansha. All Rights Reserved.