8月号画像
A5判・212頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之画伯・文化功労者)
2017年8月号の主な内容 (Vol.517)

[今月号の特集]

境内地も墓地も本堂も納骨堂も全て競売に付された寺院の最悪事態
もし自坊の全財産が競売に付されてしまったら住職はどんな気持ちになるものか。原因がお寺ではなく住職の個人的な問題だとしたら……。なぜわざわざそんな話をするのかと言えば、今まさに神奈川県内の日蓮宗寺院がそうした現実に直面しているからだ。多数の抵当権が付けられ6度も差押を受けた寺院の危機をスクープ!


住職の息子の後任候補申請を保留とした宗務所の行政は越権行為か正当か
群馬県にある曹洞宗寺院の老住職が、長男に後を譲ろうと群馬県宗務所を通じて宗門に後任候補者申請をした。ところが、宗務所はこれを受理しなかった。檀徒の反対があったからというのがその理由だ。納得がいかない住職は宗務所に「お寺に問題はないので申請書を受け取ってほしい」と上申書を提出。異例の宗務所行政の真相を取材した。


なぜ本務住職がいない寺院が増えるのか兼務住職の衝撃の告白
寺院の2割強は兼務寺院というデータは戦後以来だろう。今に始まったことではない。が、今後さらにその傾向が強まるとすれば、これまでほとんど関心が向けられなかった兼務住職の実態や本音を知る必要があるにちがいない。「倒れるまでは頑張りたい」と懸命に寺院を支える広島県の臨済宗妙心寺派寺院住職と山梨県の曹洞宗寺院住職はいかにして多くの兼務寺院を護持しているのか。



高齢者も車いすも安全にお参りできる寺院の昇降機活用実践
本堂へ上がるわずか数段の階段を苦にしてお寺を敬遠する高齢者や障害者が少なくない。こうした歩行困難な檀信徒の利便性を向上するためにお寺が設置し始めているのが階段昇降機や段差解消機だ。仕組みや導入時の注意点、費用などを、現に活用している3カ寺とメーカー数社に取材した。



住職、寺族にいいのか? 定期健診と高額人間ドックの検証
住職や寺族の健康は、自身の命のみならずお寺を護っていくうえで欠かせない。にもかかわらず、「毎年、健康診断を受けているか」と聞けば「ノー」と答える住職は多い。そもそも健康診断とは何か。日本最高額級の人間ドックとの違いも比較した。



寺有地の借地契約解除裁判を被告12人と争った教訓
寺領の借地人が高齢者のケースは多い。では、その相続人が大勢いたらどうなるのか。東京都内の真言宗豊山派寺院が起こした裁判はその上、借地人が老齢と貧困、それに知的障害があり地代を未払いのまま老人養護施設に入ってしまったのだ。今後増加するであろう土地裁判に何を学ぶか。



短期連載 日本人の死者への営みが激変したのはなぜか〔1〕
「あの世から仏の姿が消えこの世にも戸籍を持たぬ死者が増えた訳」…佐藤弘夫(東北大学大学院教授/日本思想史)

人類が築き上げた文化を振り返ると死後世界の実在そのものを否定するものは皆無だった。人生のストーリーを完結させるためには死者を組み込むことが必要だった。では現代の日本列島にはいかなる死後世界があるのか。



なぜ変わったのか!? 火葬場のかたちや会葬者の心〔2〕
「火葬場が遺体処理場と化し宗教が消えていいのか」…武田至(一般社団法人火葬研代表理事)

肉親を荼毘に付すのに普段着で来る喪主がいることを前号で紹介した。火葬場職員も驚くほど火葬風景も激変している。これは火葬場が宗教の場から公共サービスの場へ変化したことが影響している。火葬場が遺体処理場ともなりかねない。



寺院ルポ いまホタルが生息するお寺が脚光を浴びている
夏には「ホタルの夕べ」が日本の各所で開催されたものだが、今日、環境汚染などでホタルがなかなか育たないという。ホタルの棲める地域環境を取り戻そうと奮闘し、見事に成功した4カ寺の住職の実践と成功法とは何か。



動く絵伝道「パネルシアター」の元祖である住職が伝授する視聴覚布教のすごい効果
パネルの上で絵を動かすだけで、豊かな世界が広がる「パネルシアター」は幼児教育の現場だけでなく、国境を越えて注目されている。これを創案したのが東京都墨田区の浄土宗住職だ。昭和48年に創案して以来、80歳を迎えた今なお新作を作り続ける元気の源と、明日からでも始められるパネルシアターの実践方法を指南してもらった。



第12回本誌「住職関心事アンケート」結果(4)
第12回「住職関心事アンケート」の結果をご報告しよう。今回は、住職が「2016年最も印象深かった本」を3冊以内で尋ねたもの。仏教書はもとより社会評論から話題の小説まで、寄せられた回答はいずれも興味深く、きわめて貴重だ。



誌上セミナー やればできる! 寺院活性化のためのケーススタディ〔5〕
「お寺は血縁地縁そして新たな人々との知縁を結ぶ第一歩を!」…堀内克彦(宿坊研究会代表)

お寺を支えて活性化させてきたのは何か。いうまでもなく、人との縁である。筆者が提唱する〈お寺を盛り上げる7つのアクション〉の第4は「知縁を大切にする」。その理由から何を学ぶか。



好評連載 日日是薩婆訶(にちにちこれそわか)(24)
「これからは新たに動植物との共生を目指さなくてはなるまいと感じた訳」…玄侑宗久(臨済宗妙心寺派住職/作家)




好評連載ドキュメント 新米住職のワーキングプア記〔4〕
「お布施はどこに行ったかと住職を監視する檀家をいかにするか」…水月昭道(浄土真宗本願寺派住職)




障害者を快く迎えるお寺にしよう〔18〕
「福祉施設の専門職員が障害者を虐待してしまう問題に学ぼう」…野沢和弘(毎日新聞社論説委員)

騒いでいる障害者の頭に紙袋をかぶせる。トイレの個室に長時間閉じ込める。障害者の顔をビンタした――そうした行為を指摘された施設は「なぜ体罰と決めつけるのか」と反論した。なぜか。



連載 寺院と僧侶と檀家の近世史実〔37〕
「江戸の人々を惹きつけた遊行上人一行の布教方法とご利益」…圭室文雄(明治大学名誉教授)

時の天皇、大名の手厚い保護を歴代の遊行上人一行が受けてきたことをこれまで見てきた。ではなぜ、遊行上人による賦算(ふさん)や化益(けやく)が人々に歓迎されたのか。布教方法とご利益からわかることは何か。



[寺院・住職に直言提言]
小堀桂一郎 (文学者) … 「霊園にての感慨――『家』の存続を願つて――」
林望 (作家/国文学者) … 「懐かしいところへ」




[ショートルポ]
●僧侶を育てる宗門大学が寺院子弟を裏切ったのか――曹洞宗の苫小牧駒澤大学の無償譲渡で学生8人の提訴
●大阪府で「成田山不動院」を名乗る寺院が残土を不正投棄し逮捕されたが宗教活動の実態があるお寺なのか
●兵庫県明石市の市営火葬場を揺るがす不正疑惑に、その土地を市に貸す曹洞宗寺院が疑われた事情とは何か




好評連載 宗派そして宗派の最高議決機関で論議されていることは寺院や住職のためなのか、チェックしよう
【浄土真宗本願寺派】臨床専門のビハーラ僧養成開始で医療や福祉に大変革もありうるか
【全日本仏教会(特別編)】インターネットによる大規模調査で見えた住職の尊敬度





初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔76〕
「インドの四姓制度は西より侵入したアーリア人がもたらした――インドの四姓制度の淵源――」…鈴木隆泰(山口県立大学教授・寺院住職)

 既刊告知 
 日本印度学仏教学会賞受賞者・鈴木隆泰教授の本誌連載の単行本『ここにしかない原典最新研究による本当の仏教』第1巻、第2巻(ともに本体価格2,400円)が大好評。第1巻は、王子シッダールタ誕生から釈尊の覚りへの道、さらにサンガの発展までを詳述。第2巻は、釈尊の説法で重要な女性の出家や死後世界、そしてアングリマーラの殺人、提婆達多の釈尊殺害計画の全貌が分かる内容。



住職のための今月のことば 「宗教改革500年」 …稲垣真澄(産経新聞元編集委員・ジャーナリスト・僧侶)

 既刊告知 
 この連載を元にした稲垣真澄著『いつでも法話ができる現代布教キーワード必ず説きたい176話』(本体価格2,900円)が大好評。「TPP」「ゼロ葬・直葬・墓じまい」「ドローン」など現代を読み解くキーワード176を14のジャンルに分け、キーワードごとに見開き2頁で編集。毎日起きる出来事や変化を素早く法話に織り込むための実例集として最適。







 [好評連載]

 本当の創価学会問題 〔72〕
 
「超高齢化社会の中で創価学会員は孤独な高齢者に何をしているのか」
  段勲
(ジャーナリスト)


 現代日本の宗教最前線の状況と問題〔51〕
 
「現代人の死になぜスピリチュアルケアか」
  櫻井義秀
(北海道大学教授・宗教社会学者)


 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔156〕
「日本使節として中国・明に入った僧侶らの実態」
  井原今朝男 (国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)

 既刊告知 
 本誌連載をもとにした井原今朝男著『史実 中世仏教』が大好評です。第1巻「今にいたる寺院と葬送の実像」(本体価格 2,800円)、第2巻「葬送物忌と寺院金融・神仏抗争の実像」(本体価格 3,500円)。目下、第3巻を編集中、近々発売予定。



 秘められた祈りの形講座〔134〕
 「災難を打ち伏し夢中加護をもたらす『夢授経』とは何か」
  豊嶋泰國
(宗教民俗研究者)

 既刊告知 
 本誌連載をもとにした豊嶋泰國著『仏教現世利益事典―天変地異も不幸も乗り越えられる祈りの形』(本体価格3,100円)が檀信徒への説法の幅が広がると好評です。「お餅を供えたり食べるのは万民豊楽の訳」「寺院で行われる厄除け厄落としにどんな方法があるか」など、現世を生きるための仏教の50の利益とその実践を実証的に説く。



 色即是空の科学事始め〔135〕
 
 「道義責任を感じない政治家――私たちには私たちの程度に合った政治しか持てない」
  池内了
(総合研究大学院大学名誉教授・宇宙物理学者)

 既刊告知 
 本誌連載を単行本とした『人間だけでは生きられない―科学者として東京オリンピックに反対します』(本体価格2,300円)が各界より大注目です。「年をとると一日が速く過ぎるわけ」「放射線被曝限度量は誰が決めるのか」など、日本を代表する宇宙物理学者による最新科学情報の厳選70話を収録。



 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔176〕
 「住職不在中に御朱印を求める方が来てしまった!」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 いまさら師匠に聞けないこと〔65〕
 「なぜ一切の私語を禁ずる坐禅会なのか」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 今こそ宗教と法律の問題新講座〔41〕
 「宗教法人の銀行預貯金管理と税金」
  櫻井圀郎
(宗教法および宗教経営研究所長教授)


 誌上講座・未来の住職塾から寺院僧侶活性化対論〔38〕
 「エンディングの相談に乗る」
  松本紹圭
(『未来の住職塾』塾長)・ 井出悦郎 (『未来の住職塾』講師)


 今からの宗教酔眼千里眼〔46〕
 
「日本人と現代仏教の位相(46)――近代仏教社会事業を支えた道徳」
  島薗進
(上智大学教授・日本臨床宗教師会会長)


 70億人の宗教トレンド〔87〕
 「世界に5000万人もいるコプト教が弾圧され孤立化しているのはなぜか」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 古今東西名著万巻のススメ〔62〕
 「村上重良著『国家神道』を読む」
  芹川博通
(比較思想学会前会長・日本宗教学会評議員)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔80〕
 「天を仰いで唾をする」
  勝崎裕彦
(大正大学前学長・浄土宗住職)


 コラム 盆踊り全国漫遊記〔24〕
 「盆踊りで掘り起こす地域文化」
  柳田尚也
(湘南盆踊り研究会代表)


 法律相談… 平松和也(弁護士)・ 橋口玲(弁護士)
質問1 夫の死後に復姓した妻が“死後離婚”したとして夫の菩提寺にある家墓に葬った 夫の遺骨の返還を請求してきたがどうすべきか
質問2 江戸や明治時代の寄進書をネットで公開したら寄進者の末裔から訴えられないか


 税金相談… 河村照円(税理士・行政書士・寺院住職)
質問1 檀家墓地の永代使用料は非課税だと思いますが墓地管理料は課税されますか
質問2 退職金規定がない寺院ですが住職引退後にお寺で働いても退職金はもらえますか





[別冊付録](12ページ) ●毎号「法話特集」の別冊が付きます。



 お説教のタネ本「子は親と良好な関係にあると思っているか?」


 在俗の説法者〔181〕 「頑張れ! 写経1万巻」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)

 新刊発売! 
 7月上旬にこの連載を元にした単行本、篠原鋭一著『この世でもっとも大切な話』(本体価格1,800円)を発刊いたしました。「少年院からの手紙」「風でもいいから会いたい」「原発に引き裂かれたもの」など感動あふれる説法の話材となる30の実話を収録した最高最善のお説教読本です。



 生きるとは何か〔85〕 「動物と人間の違い」
  亀井鑛
(NHKEテレ「こころの時代」元司会者)


 スピリチュアルケア講座〔96〕 「家族と歌う喜び」
  井上ウィマラ
(高野山大学教授)


 露の団姫のお笑い仏教寄席〔27〕
 「怪談噺が最も得意な一門にいるのに私、大の怖がりなんです」
  露の団姫
(つゆのまるこ、落語家)


 すぐ使える法話セミナー〔4〕 「三宝の『法』を説く」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔224〕 「幸せは自分で取りに行ってください」
  峯岸正典
(曹洞宗住職・宗教間対話研究所所長)


 いまどきマンガ説法〔61〕 「五山送り火」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






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