2月号画像
A5判・210頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之画伯・文化功労者)
2016年2月号の主な内容 (Vol.499)

[今月号の特集]

お寺が足りない! 首都圏開教に挑んだ住職が痛感した最前線
立派な伽藍も広い境内も駐車場もない。民家と見まがう建物だったり、マンションの一室が都市開教寺院の現実だ。だが、そこがお寺である限り、人もお金もどんな場所でも集まってくる。首都圏で開教に挑んだ住職たちの実践から分かったのは、やはりお寺が少なすぎる現実だったのだ。前号に続き、お寺が足りない実態をリポート。


庫裡新築の寄付金に猛反発した門徒の提訴に裁判官が勧告したこと
山形県の真宗大谷派寺院では大雪などで庫裡の屋根が壊れた。再建のため門徒に寄付を求めたところ、門徒の一部が「寺の帳簿を見せなければ寄付金に承服できない」と裁判まで起こしてきた。これに司法は貴重な判断をみせたのだ。


新任住職が執事長を解雇した理由と執事長の証言
一般寺院も人を雇っていれば起こり得る裁判だ。おまけに地域の中心である2人の住職が原告と被告に分かれて争っている。山梨県の観光客も多い名刹の執事長解雇をめぐる騒動で、なぜ住職は裁判までして争わなければならなかったのか。


お寺が宗派に納めたお金は何に使われているのか? 宗派財政の比較検証で宗派のやる気が分かる
伝統仏教教団の財政といっても、予算9億円規模からなんと100億円を超す宗派もある。もちろん、その多寡を競うものではない。問われるのは寺院住職が宗派をいかに見ているか、宗門は寺院や僧侶や檀信徒をいかに活動体として見ているかである。伝統10大宗派の予算編成内容を比較分析して分かったことは何か。



中国に抑圧された「チベット亡命政府」ダラムサラの知られざる現実
中国チベットでは140人もの僧俗が焼身抗議を続けている。しかし、彼らの命がけの行動はこれだけではない。ヒマラヤを越える亡命者たちだ。標高5000m以上の厳冬期ヒマラヤを凍傷と闘いながら越境する人々。彼らを待つチベット亡命社会の現実とは? そして目指すインド・ダラムサラの街とは?



最新葬儀アンケートで分かった葬儀費とお布施の急落
葬儀費用や会葬者の減少など葬儀を取り巻く変化を日々、住職は肌身で実感している。ではその実状はどうかといえば、なんとこの20年で葬儀費とお布施が200万円も急落したことが分かったのだ。葬祭互助会や国民生活センター調査の結果をリポート。



放置される戦没者慰霊碑に寺院は何ができるのか
戦後70年を迎えた昨年は戦没者追悼に関する話題が様々に報じられたが、とりわけ厚労省から発表された戦没者慰霊碑管理状況の調査結果は衝撃的だった。なんと、約1万3000基の慰霊碑のうち、およそ半数が管理不良もしくは管理状況不明だという。遺族の高齢化が進む中、寺院と慰霊のかかわり方も環境や人によって多様になりつつある現状を取材した。



寺院の伝統行事がいま危機にあるのはなぜか?
寺院で連綿と受け継がれる伝統行事。当たり前のように続いているように見えても、継続するには寺院と地域の尽力が不可欠だ。しかし、お寺の力だけではどうにもならない実情もある。しかも、今年になって大きな曲がり角を迎えた2つの伝統行事を取材すると、決して特殊な理由ではないことが分かった。



どんな境遇や障害も受け入れる住職の街づくりに国も大注目!
「一億総活躍社会」があらゆる人々に暮らしやすい社会の実現を目指すことなら、石川県金沢市の日?宗寺院の住職は、まさにそれを推進する旗頭の一人。住職が実現させた、障害者でも、心身の機能が衰えた高齢者でも、様々な人とのかかわりのなかで元気になれる街が、これからの日本のモデルケースとして全国的に熱い注目を集めている。



防災対策 お寺に感震ブレーカーは本当に役立つか
地震の二次災害で危険なのが電気を原因とする火災だ。とくに停電後の電気復旧の際に地震で傷んだ配線が元で出火する「通電火災」は恐ろしい。その対策に注目されているのが「感震ブレーカー」だという。各種特徴から価格までをお寺の立場からメーカーに取材した。



日本人の死生観が急変しつつある現象を読み解く(2)…佐藤弘夫(東北大学大学院教授)
中世から近世への転換期に死後の世界観も大きく変わったといわれる。死者はもはや遠い世界に旅立つことはなく、この世に留まり続ける。死者を記憶し供養を続けることが残された生者の重要な務めとなり、そのための方法も多様化していく。それはなぜなのか。



臨床仏教師の役割と実践(3)…神仁(全国青少年教化協議会/臨床仏教研究所上席研究員)
昨年誕生した日本初の臨床仏教師6名が、目下それぞれの現場で活躍している。果たしてどのような研修課程によって臨床仏教師は養成されているのか。実際のプログラムとその目的は何か。そして、臨床仏教師に求められる資質とは何か。



好評連載 日日是薩婆訶(にちにちこれそわか)(8)
瞑想もいいけれど陀羅尼助を好むのは人情の自然かな・・・玄侑宗久(臨済宗妙心寺派福聚寺住職/作家)




地元新聞記者の寺院現況リポート〔11〕
次代を担う若手僧侶の新しい活動にこそ過疎を好転させる力がある…桜井邦彦(中国新聞文化部記者)

人口が減り続ける地域のお寺にも青年僧侶はいる。当然、過疎の状況は次代を担う僧侶たちの行方に重くのしかかる。けれども、その危機をかえって絶好の機会と捉えて研鑽し合いながら新たな布教法を模索し、檀信徒への取り組みも始めている。その現場を取材した。




連載 激変する葬送にいかに対処すればよいか!? 〔29〕

「エンディング産業展で分かった業者の脱宗教化」…内藤理恵子(宗教学者)




連載 寺院と僧侶と檀家の近世史実 〔20〕

「短時日に寺院の約6割も破却した岡山藩の排仏思想の実際――岡山藩主池田光政の寺院整理」…圭室文雄(明治大学名誉教授)




連載 本当の創価学会問題 〔55〕

「なぜ創価学会は芸能人やタレントの名前を信者として公表したのか――広告塔としてフル活用するためなのか」…段勲 (ジャーナリスト)




[寺院・住職に直言提言]
泉 麻人 (コラムニスト) … 「お寺は里山であれ」
辛酸なめ子 (漫画家/コラムニスト) … 「お寺の楽しみ」




[ショートルポ]
●晋山後に妻帯し檀家から退山を要求された愛媛県、臨済宗妙心寺派寺院の住職に師匠が放った一喝の重み●扇状の台形から全被災地の魂に祈りを届ける岩手県曹洞宗住職構想の震災慰霊碑がグッドデザイン賞を受賞した●名刺を通じてご縁に感謝する築地本願寺の「名刺納め」法要で新聞も知った宗義の重さとは








 [好評連載]

 色即是空の科学事始め〔117〕
 「胡散臭い言葉に騙されるな――『安全保障』といい『一億総活躍社会』といい……」
  池内了
(総合研究大学院大学名誉教授・宇宙物理学者)


 初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔58〕
 「仏教はすべての欲を捨てて生きることを勧める宗教ではない」
  鈴木隆泰
(山口県立大学教授)


 現代日本の宗教最前線の状況と問題〔36〕
 「宗教は何のためにあるか、脳科学で分かったことは何か」
  櫻井義秀
(北海道大学教授/宗教社会学者)


 秘められた祈りの形講座〔122〕
 「聖徳太子の伝説がなぜ日本仏教に深く広く影響したか」
  豊嶋泰國
(宗教民俗研究者)


 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔138〕
 「東国武士に息災延命北斗法が普及した訳――『寿命経』や『北斗法』の存在から分かる中世人の信仰」
  井原今朝男 (国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)


 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔160〕
 「葬儀社が『これなら幼稚園も使える』と目を輝かせた訳」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 誌上講座・未来の住職塾から寺院僧侶活性化対論〔20〕
 「インターネットをお寺の味方に」
  松本紹圭
(『未来の住職塾』塾長)・ 井出悦郎 (『未来の住職塾』講師)


 今からの宗教酔眼千里眼〔28〕
 「日本人と現代仏教の位相(28)――グリーフケアの効果」
  島薗進
(上智大学教授・宗教学者)


 70億人の宗教トレンド〔69〕
 「世界が注目するフランシスコ法王の行動と発言に仏教僧が学ぶべきこと」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 いまさら師匠に聞けないこと〔49〕
 「いまはやりの3D映画で分かったこと」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 古今東西名著万巻のススメ〔47〕
 「上山春平編『照葉樹林文化』を読む」
  芹川博通
(比較思想学会前会長・日本宗教学会評議員)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔62〕
 「解脱幢相の衣」
  勝崎裕彦
(大正大学前学長・浄土宗住職)


 住職のための今月のことば
 「夫婦同姓」
  稲垣真澄
(ジャーナリスト)


 コラム 盆踊り全国漫遊記〔6〕
 「祭りは子どもが主役だった」
  柳田尚也
(湘南盆踊り研究会代表)


 法律相談… 平松和也(弁護士)・ 橋口玲(弁護士)
質問1 お寺の空き家を民泊として活用する方法と貸し家を無断で民泊利用された問題
質問2 住職が役員の各家を訪ねて行われた責任役員会決議を裁判で無効にできるか


 税金相談… 実藤秀志(公認会計士・税理士)
質問1 跡取りの僧堂入門費や住職の宗派への大僧正義納金は寺院からの支出としてよいですか
質問2 葬儀のほか寺子屋に使っている檀信徒会館に固定資産税や法人税はかかりますか





[別冊付録](12ページ) ●毎号「法話特集」の別冊が付きます。



 お説教のタネ本「スヌーピーの漫画が今、癒しの名言として注目されている」


 在俗の説法者〔163〕 「満州に残せしわが子に」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)


 生きるとは何か〔67〕 「だましごまかし」
  亀井鑛
(NHKEテレ「こころの時代」元司会者)


 スピリチュアルケア講座〔78〕 「育児室からの亡霊」
  井上ウィマラ
(高野山大学教授)


 露の団姫のお笑い仏教寄席〔9〕
 「お坊さんにわが子の名前を付けていただき超ハッピー」
  露の団姫
(つゆのまるこ、落語家)


 そもそもお葬式セミナー〔154〕 「目に見えない葬儀」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔206〕 「念じたときが大輪の花」
  田中治郎
(文筆家/仏教塾「柏樹庵」主宰)


 いまどきマンガ説法〔43〕 「バレンタイン」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






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